白面金毛九尾の狐(はくめんこんもうきゅうびのきつね)





妖怪絵日記最長のお話になってしまいました白面金毛九尾の狐のお話、いかがでしたでしょうか。

「最強の妖怪はどいつだ!?」議論ではまず間違いなく名前が候補にあがる、「白面金毛九尾の狐」。世界を股にかけた彼女の悪の物語のスケールの大きさとその魅力ゆえ、多くの妖怪物語でもラスボス級に扱われることも多い彼女ですが、ではやっぱり最強なのか?と問われれば影山としては即イエス!とは言い辛いですね。というのも、すずが言ってたように、九尾の狐そのものは人間に狩られるレベルでさほど戦闘力は高くなく、白面も例に漏れず知略で戦うタイプなので(もちろん人間の軍と争い一度は退けたのは並みの九尾の狐にできることではないですが、その戦い方は今で言うゲリラ戦法で1人づつ地味に仕留めていく戦い方で、逆に彼女の直接戦闘力がそれほどでないことを示しています)地下闘技場に2体妖怪を並べてさあどっちが強えか勝負してみようぜ!となれば他の多くの最強候補妖怪たちにワンパンで倒される可能性が高いと思われるからです。

最もその「あんまり強くない」ことこそが彼女の最大の特徴であり魅力であると思います。戦闘もそうですが、国々での悪の所業も美女に化けるだけの変化術と口先、お色気などの妖怪としては最低限の基本スキルをフルに活用し、国を滅ぼすに至った手腕は彼女ならではのものです。仮に妖怪が人間と敵対するものとして、人間側に与えたダメージ量だけで見れば白面金毛九尾の狐は間違いなく最強の妖怪であったと言えるでしょう。

……最強って何ぞやみたいな感じになってきましたが、ともかく影山としては彼女のそういったスタイルに注目し、妖怪絵日記での白面金毛九尾の狐を現代社会で暗躍する、言葉一つで人間世界をちょっぴり悪い方向へ持っていくネットの「プロの煽り屋」として描写してみました。ちなみに葦原やらきゅーちゃんの活動やら色々意味深なことも描いてますが、白面との争いうんぬんに関しては今後の妖怪絵日記の展開にはなんら関わりはありませんのであまり気になさらぬよう。ただ、キツねーちゃんの母、きゅーちゃんに関しては色々と便利な存在なので今後も登場する予定です。

ところで、期待していた読者さんもいたようなので申し訳ないのですが、妖怪絵日記では妖狐の位を表す『天狐』『空狐』『気狐』などの名称は作中、直接には描写せずにおきました。というのも狐編を描くにあたって妖狐に関して少々調べ直したのですが、狐の階位に関する話は文献によってまちまちで、なかなか影山の中で上手くまとめきれなかったためです。おおむね共通するのは『天狐』が最上位であること(空狐が最上とする説もあるようですが、影山は同意しかねます)、妖狐が1000歳を越えたあたりから肉体を(どういう理由か)無くして霊的存在になること、そして階位に尻尾の数は関係ないこと、などでしょうか。現代の色々な妖怪本でも狐の階位についてまとめられているのを見ますが、古い資料との矛盾も多く、どうにも納得できないまま話に出すのも憚られ、白面の最後のセリフに天だの空だの匂わす程度に留めておきました。まあ単純に白面とキツねーちゃんの母親の話をミックスしただけでページが膨大になりすぎ、これ以上要素を付け加えることができなかったこともありますが……。そんな理由でひとつご理解下さい。

妖怪世界の5大勢力、狐、狸、カッパ、鬼、天狗のうち一気に3つまで描き上げてしまいました、正直いっぺんにやりすぎた感があり、影山も連続話はしばらくごめんだよ〜状態になってます。そんなわけで、次章からはまた通常話に戻る感じになるかと思いますが、もうしばらくお付き合いのほどを。



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