葛の葉(くずのは)





大阪府に伝わる、平安時代の天文学者である安倍晴明の実母であったと伝えられる白狐。信太の森と呼ばれる場所で晴明の父である安倍保名と出会い、葛の葉を名乗る美しい女性に化け、恋に落ちて結ばれたが晴明が幼い頃にその正体が狐であるとばれ、家族を残し信太の森に帰ったと伝えられています。一説では全ては稲荷大明神の意志であり、その後、葛の葉を通していくつかの神具を晴明に授けたとも言われています。

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狐界の恐らくは最も有名であろう善なるヒロイン、葛の葉狐。そのせつなく美しいエピソードから昔より多くの舞台や物語の題材とされ、今でも歌舞伎の舞台などでよく上演されているようです。良い狐はみんなお稲荷様の使い!みたいなノリで宇迦の神の眷属ってことにもされてますが、彼女レベルならきっと位はかなり高いことでしょうね。

ちなみに妖怪絵日記内では今回の管狐は安倍晴明のものってことになってますが、これは妖怪絵日記オリジナルであり伝承では生前に晴明が管狐を使ったとかいうお話は一切ありません。晴明の没後、室町時代に現れた飯綱天狗が管狐術の開祖なわけですが、葦原にいる晴明がそれを見てパクっ……教わった、みたいなバックストーリーがあると思って貰えたらと思います。



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