野鉄砲(のでっぽう)





江戸の奇談集、『絵本百物語』にある妖怪。絵の解説には北国の山に住み、口からコウモリのようなものを吐いて人の目口を塞いで動きを止め、その隙に取り付いて血を吸うと書かれています。また、懐にオナモミの実を忍ばせておけば、この妖怪に狙われなくてすむといわれています。

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絵の解説には口から吐いたもので攻撃すると書かれていますが、奇談本文には直接人にとりついて血を吸うと書かれています。本文中にはまた、コウモリが変化した「野衾(のぶすま)」と同一のものであると書かれており、そこから着想を得てコウモリを吐き出す野鉄砲の絵が描かれたのかもしれませんね。また一説には、血を吸うのではなく、攻撃のスキに荷物を奪うタイプのものもいるそうです。



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